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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(す)556号 決定 1954年1月19日

本籍

名古屋市熱田区新尾頭町三四番地

住居

不定(現在名古屋拘置所在所)

申立人

竹内昭三

右の者に対する昭和二八年(あ)第二八七号住居侵入、強盗、窃盗、強盗致傷被告事件について、昭和二八年九月二九日当裁判所が言渡した上告棄却の判決に対する、刑訴五〇一条による疑義申立事件につき、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件申立を棄却する。

理由

本件申立理由は、末尾添附の「裁判の解釈を求める申立書」並に「上申書」と題する各書面記載のとおりである。

しかし刑訴五〇一条にいわゆる「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合のことであつて、本件申立理由の如きは、右の場合に当らないことは明瞭である。しかも本件の如く被告人の上告を棄却した最高裁判所は、右刑訴法にいう刑の言渡をした裁判所とはいえないから、これに対し疑義の申立をすることも許されない。故にいずれの点からみても、本件疑義の申立は不適法で棄却すべきものである。

よつて裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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